受講レポート

「生涯発達心理学から見た社会人の課題 」を受講して

5月20日の会員集会の後、田島信元(白百合女子大学教授・日本 交流分析教会特別顧問)の特別講義がありました。

テーマは「生涯発達心理学から見た社会人の課題 」でした。

受講された交流分析士インストラクター 蔵本 敏郎 さんのレポートです。

 

NPO法人日本交流分析教会・関東支部特別セミナー                      

『生涯発達心理学』を学ぶ

生涯発達心理学から見た社会人の課題

を受講して

交流分析インストラクター 蔵本 敏郎 

 

2018年5月20日()13:30~16:30まで、田島信元(白百合女子大学教授・日本交流分析教会特別顧問)の特別講義が行われました。

 

序『生涯発達と支援の原理』から始まり、各論『成人期・中年期・高齢期の発達(課題)と支援』、『社会的不適応(発達障害)と対処法』につい話されました。その中で特に印象に残ったところを挙げさせていただきます

 

『生涯発達と支援の原理』の中では 

 

1.「最近接発達領域」論(VygotskyL.S)での 

   子どもには教えるのではなく大人や仲間からのちょっとした支援(励まし・ヒント・モデル)によって、子ども自身に学ばせることが大切である。

 

2.「学習を理解する」の中での学習曲線

 

   学習曲線とは横軸に時間、縦軸に達成度をとり学習の進行過程を示した曲線で、S字を斜めにしたような形になり、準備期と発展期を繰り返しながら上昇していく。準備期の段階では成果は現れにくく、その段階で投げ出してしまうことが往々にしてあるが、それを乗り越えたときに急激に上がってくる。1Sから2S、3Sと進むにつれて、より短期間で成果が急激に高まるとのことであった。粘り強くやり続けることの重要性を示している。私たちが交流分析を学び初めたときは、その理論が理解できずにもやもやとした時期がしばらく続いたのではないか。しかし、ある時期を過ぎるとそれが理解できるようになった。そしてそのサイクルの繰りが続く。まさに学習曲線上を進んでいるようである。

 

『成人期・中年期・高年期の発達(課題)』の中では

 

1.‘人は生涯発達し続ける’という事実を再確認することから始まるという説明。

 

発達は、増大と衰退を繰り返す過程であり、衰退の面に目を向けすぎないようにすることだと話された。私たちは年齢が高くなるにつれて、自分の衰えていく部分にだけ焦点を当ててしまいがちである。‘人は生涯発達し続ける’という言葉には勇気づけられる。

 

2.「中年期の発達(課題)と支援」のところでの、中年期の危機(心身の変化・人生の岐路)が訪れるという説明。

 

   中年期では‘職業における変化’‘家庭における変化’‘身体的変化’が起こる。この3つの変化がボディーブローのように効いてくる。それに対処するためには、これまでの生き方を振り返り、生き方やアイデンティティの見直しが必要あである。自分の限界を認識し、自分にピッタリな目標や自分の役割は何かを理解していくことであると話された。

 

自分自身を振り返ってみると、やはり‘中年期の危機’のように感じられたときがあり、不安定な気分に苛まれていた。そこから脱出するために交流分析を学び始めたような気もする。 

 

3.「高齢期の発達(課題)と支援」の説明。

 

高齢期では、これまでの人生を受け入れることから出発すること。高齢期の発達は予想外に大きい。また高齢期の社会関係・身体的条件の変化として、‘身体・精神の健康の喪失’‘経済的自立の喪失’‘家族・社会とのつながりの喪失’‘生きる目的の喪失’という4つの喪失があること。これらをカバーするだけの状況をつくらなければならないと話された。そのための自分なりの社会参画・社会的貢献を続けることが自己実現の完成への道筋となる。そして最終的に、これまでの人生を受け入れることで、死の受け入れが自然に成立するとのことであった。超高齢化社会に突入する日本にとって「高齢期の発達(課題)と支援」は重要課題であるように思う。

 

  

今回の田島先生の講義から、交流分析をはじめ多くの心理学を学ぶことで、私たちの抱えている様々な課題に気づき、それを克服していくための手がかりや方向性を示してくれるのだと感じた。交流分析の理論を学び続け、ぜひ交流分析の目指すべきゴールに到達したいものである。