受講レポート

インストラクター資格更新研修会に参加して

交流分析士インストラクター 岩井 昌江

  今回は杉元真友実先生による「インストラクションスキル」を中心とした研修でした。インストラクター資格を取得してから、理論研修による自己研鑽は多くの機会がありますが、意外と基本的なことについては改めて学ぶ機会も少ないせいか、8月の猛暑にもかかわらず多くの参加者が会場を埋め尽くしました。 

 

 まずは交流分析協会の指導会員として、その意義と役割を再確認しました。私自身も2級講座を開講しておりますが、受講者が交流分析を正しく理解し、もっと学びたいと興味を深めていただく、その入り口で支援するのがインストラクターであることを常に意識しております。

 

「初級者への指導」ですので理論や受講内容ももちろん「初級」ではありますが、学びの最初で関わるということは、とても責任重大です。わかりやすく、正しく伝わる指導の仕方について毎回試行錯誤しておりますが、杉元先生の講義はそこを明確に教えてくださり、まさに「わかりやすく、正しく」伝えていただきました。 

 

 今回の研修会は先生の講義に加えて、ラポールの形成やアイスブレイク、そしてプログラムの組み立てに至るまでグループワークを通して理解する、実践型のカリキュラムでした。

 

5~6人のグループになり、最初の実践は「自己紹介」。毎回当たり前のように行っていることですが、講師の第一声で講座の印象が決まるほど大切なオープニングです。「この講師の話ならぜひ聞いてみたい」と思わせるパフォーマンス力と信頼に足る人間力が求められることを改めて認識しました。 

 

 プログラムの作成では、グループメンバーの一人が、「所属しているキャリアコンサルタントの研修会でTAについて紹介をする機会があるのでこの機会にぜひ一緒に考えてほしい」ということで、具体的に取り組む方向性が定まりました。 

そこで「キャリアコンサルタントにおいて、TAをどのように生かせるか」というテーマで90分の講座を組み立てることにしました。 

キャリアコンサルタントとはカウンセリングの原則に基づきながらも、時にクライアントに提案したり情報提供したりする必要があります。ロジャーズの来談者中心療法を意識しつつも、つい教示的になったり、または、消極的になったりと、自分のコミュニケーションの癖が出やすくなってしまうことが、多くのキャリアコンサルタントにとって課題です。 

またクライアントの自己理解を深める際にも、自我状態やストロークの理論は効果的ですし、エゴグラムはアセスメントとしても有効です。

 

 キャリアコンサルタント自身の気付きのために、またクライアントの支援にもTAの理論がとても有意義であることを、90分でいかに理解してもらえるか、とても具体的で活発なグループワークになりました。